このページは本サイトの管理人が以前発表した内容の一部を記事化したページです.
発表の詳細はこちら↓から御覧ください.
青山学院大学ピクトグラム研究所所員の御家雄一が,教育家庭新聞社主催,レノボ・ジャパン合同会社協賛のウェビナーに登壇し,ピクトグラムを統一コンセプトにした情報Ⅰの授業に関する講演をします
2021年度入学生まで「社会と情報」「情報の科学」を実施し,2022年度入学生から「情報Ⅰ」を実施します.
情報の科学と情報Ⅰ
授業圧縮の必要性
情報Ⅰの内容は(正確に見ると若干異なる部分はあるものの)情報の科学を並べ替えて,最新情報に変えたうえで,「情報デザイン」と「データの活用」を追加したような内容になっています.
※図は学習指導要領に記述されている各単元名
学習指導要領に示されている学習内容を記述すると下の図のようになります.
それを新学習指導要領の情報Ⅰに合わせるとおおよそこのようになります.(教科書によっては順序が異なったり,異なった文脈で取り扱うこともある)
もともと情報の科学の内容だけでも時間数はある程度カツカツでしたが,扱う内容が増えたため,授業内で扱う単元を圧縮する必要が出てきました.
旧課程の情報の科学も現行課程の情報Ⅰも2単位です.圧縮は必須です.
自分事として捉える重要性
発表時には,発表開始直後,2,3分後に「私の好きなアイドルは 日向坂46 です」と述べました.1回目に聞いた聴衆は「何が起きているのか」といった状況だったと思いますが,2回目聞いたときには「何をまた言っているんだ」と思ったのではないでしょうか.
もう一つの感覚が非常に重要で,1回目に「私の好きなアイドルは」と言ったときに,その次に発する言葉が「日向坂46」であることは殆どの方が想像できなかったかと思います.ただし2回目に述べた「私の好きなアイドルは」のときには「まぁどうせ日向坂46だろう」であったり「なんとか46」などのように,すでに知っていることを聞くことになったと思います.
これは擬似的な体験であり,厳密な定義に則っていないものの,情報量の例え話を体験していることになっています.
例えば 雪が降った ときに「雪が降ったよ」と述べますが,天気が4種類(晴れ・曇り・雨・雪)だとして,それらが同様に確からしい確率で発生するとします.すると雪が降ること自体は別に珍しいわけではありません.それを数値で表すと2になります.
もう少しリアリティのあることを考えてみます.「”沖縄で”雪が降ったよ」や「”北海道で”雪が降ったよ」と話しているとします.
その際,沖縄の話では「ええええええ」と驚き,北海道の話では「ほうほう」程度の感覚になるのではないでしょうか.これを先程と同じように確率的な考え方をしてみます.今回はそれぞれの天気が発生する確率を変えて考えます.計算しやすいように分母を1024にして,分子にそれっぽい数値を入れてみました.無論これは適当に示した数値であるため正確ではありませんが,イメージをするためにご覧ください.
この情報量の式にそれぞれの確率を当てはめてみると,10と1といった数値が算出できました.
沖縄で雪が降ったよ→ええええええええ は10
北海道で雪が降ったよ→ほうほう は1 らしいです.
高等学校の学習においては情報量の定義までは扱いません.しかしながら各社の教科書では「情報」については定義しています.ただし,その定義はなかなかに難解な記述です.
挿絵や文章による説明では難解で,高校生や大学生などに読解してもらい自身の言葉で説明してもらうよう求めましたが,一意に定まらないことが多かったです.この記事でここまでに記述した内容は情報量の内容であり情報の定義とは異なります.ただし,大体の「情報の定義」は,情報量が大きいか小さいかを何となく知った上で情報の定義を見ると,非常に腑に落ちやすいことが分かりました.
さてここで,「私(筆者)の好きなアイドルは….
「どうせ,日向坂46だろう」と思われたかと思います.「へーなるほど,この人は日向坂46が好きなのねー」ではなくて「さっき言ってたし知ってる」のような感覚,情報量ゼロを体験いただけると思います.
再三の注意書きですが,正確な情報量の定義と比較すると相違があるため,これを全てとして理解することはよろしくないですが,情報量の入りとしては悪くない例えだと思います.
そして,その経験をこの発表内でしてもらっています.
ここが非常に重要で,(学習者が)自分自身が体験すること,(学習者が)自分事として捉えること.これらを授業デザインの際に意識しなければならないことだと思います.
今回の例では,筆者が好きなアイドルを2回短期間に述べることで,2回目は情報量が少ないことを体験しました.当たり前の話を言われてもね…といった感覚を体験してもらい,それを知った上で教科書に記述されている情報の定義をみます.
視点の転換
「虫の目 鳥の目 魚の目」といった言葉があります.今回は虫と鳥だけに着目して考えます.学習者が学習しているときには,その参考書が全ての世界だと思い込んでしまいがちです.他の書籍に手を出しても,限られた領域内でしか知見は深まらないでしょう.
学問についてある程度学ぶ際には,俯瞰的に物事を捉える,謂わば鳥の目が必要になることは自明だと思います.その視点の変換を授業内で出来る限り促す必要があると思います.
ただ,それは容易ではありません.
少しでもその訓練として視点を変換する練習,また,様々なたとえ話や体験を通して,自身の体験や経験に基づいた自分の言葉で説明できるようになってこそ,学習事項の理解をしていることに近づくと思います.鳥の目と言えるほど俯瞰的に捉えられていなくても,他者視点,当事者視点の視点の切り替えができるようになる必要はあるでしょう.その繰り返しが物事を俯瞰的に見ることに近づく過程の一つとなるはずです.
ここまでのまとめ
・自分事として捉えた体験を増やす
・視点の転換の練習を積み,俯瞰的視点で物事を考えられるようにする
これらを満足するための授業提案として,ピクトグラムを用いた学習を提案し,その実践事例や考察について発表(記述)します.
ここまで,続き執筆中
発表内で紹介したPDFやWebサイト
ピクトグラミング
https://pictogramming.org
青山学院大学ピクトグラム研究所
https://pictogramming.org/prc
ピクトグラミングチュートリアル動画
https://johono.site/pictogramming/
授業風動画一覧(ピクトグラムを使って学ぶ内容は8月から更新予定)
https://johono.site/informatics1_lecvideo/
紹介した内容
木のピクトの代わりに
PDF → picpaper