文部科学省は2026年7月30日、中央教育審議会の情報・技術ワーキンググループ第12回を開催し、「情報・技術WG取りまとめ(案)」を配付資料として公表しました。全117ページの資料で、小学校の「情報の領域」、中学校の「情報・技術科」、高等学校の「情報科」について、教科・領域の構成、学習内容、評価、条件整備を整理しています。
資料の位置付け第12回会合は開催済みで、配付資料も公開されています。ただし、公表された文書はワーキンググループの取りまとめ(案)であり、学習指導要領として確定したものではありません。先行実施の具体的な経過措置と授業時数は、今後さらに検討されます。
第12回会合の開催情報
- 日時:2026年7月30日(木)16時30分~18時30分
- 開催方法:WEB会議と対面を組み合わせた方式
- 主な配付資料:情報・技術WG取りまとめ(案)、情報活用能力の抜本的向上を支える指導体制改善プラン
- 確認状況:第12回会合と配付資料の公表は完了。取りまとめと制度改正は審議中
要点だけ読む
- 01小学校総合的な学習の時間に「情報の領域」を設ける案
- 02中学校「情報・技術科」を創設する案
- 03高校情報Ⅰを存置し、情報Ⅱとともに内容を充実する案
先行実施案小学校は2028年度、中学校は2029年度から段階的に実施する方向です。
全面実施案小学校は2030年度、中学校は2031年度、高校は2032年度入学生から順次実施する想定です。
未確定具体的な経過措置と標準授業時数は、今後の検討事項です。
学校段階別の変更案
小学校総合的な学習の時間「情報の領域」
- 構成:総合的な学習の時間を「探究の領域」と「情報の領域」で構成します。
- 学年:第3学年から第6学年を対象とし、低学年では各教科等を通して基本操作などを扱います。
- 学習:基礎的内容を扱う「情報ブロック」と、課題解決に活用する「ミニ探究ユニット」を組み合わせます。
中学校情報・技術科
- 領域:「情報技術」と「情報を基盤とした生産技術」の2領域で構成します。
- 情報技術:情報の表現とデジタル化、プログラミングと自動化、情報基盤とシステム化を扱います。
- 生産技術:材料加工、生物育成、エネルギー変換に情報技術を組み合わせ、「技術の統合」を扱います。
高等学校情報科
- 科目構成:共通必履修の情報Ⅰと、選択科目の情報Ⅱを維持します。
- 情報Ⅰ:AI・データ活用、情報デザイン、モデル化・シミュレーション、システム開発、PBLを含む構成案です。
- 情報Ⅱ:データサイエンス、AI、コンテンツデザイン、情報システム、価値創造の実践を扱う構成案です。
名称資料内での扱い
- 取りまとめ(案)は、「情報の領域」と「情報・技術科」の名称が趣旨を表しているとして、以後の資料内では「仮称」を付けずに使用しています。
- これは第12回資料内の扱いであり、学習指導要領として教科名が確定したことを意味するものではありません。
- 「情報・技術科」の個別の内容項目名には、引き続き仮称が含まれます。
先行実施と全面実施の予定
- 2026取りまとめ案教科・領域の構成と条件整備を提示。
- 2028小学校情報の領域を段階的に先行実施する方向。
- 2029中学校情報・技術科を段階的に先行実施する方向。
- 2030小学校次期学習指導要領を全面実施する想定。
- 2031中学校次期学習指導要領を全面実施する想定。
高校高校は2032年度入学生から年次進行で実施する想定です。各年度は2026年7月30日時点の案であり、変更される可能性があります。
報道された授業時数
朝日新聞がYahoo!ニュースに配信した2026年7月30日の記事では、小学校の「情報の領域」は第3・4学年で年間最大30コマ程度、第5・6学年で35コマ程度、中学校の「情報・技術科」は第1・2学年で年間最大70コマ程度、第3学年で35コマ程度と報じられました。
報道上の数値これらは新聞記事が伝えた予定の規模です。現時点の標準授業時数として確定した数値ではありません。
授業時数について一次資料が示すこと
取りまとめ(案)は、年間の標準総授業時数を増やさない方針を前提とし、このワーキンググループとして具体的な授業時数は示さないとしています。小学校と中学校の学習活動を小さな単位に分けて項目数を試算していますが、1項目が1コマに対応するとは限らず、授業時数はさらに精査が必要としています。
- 小学校:第3学年28項目程度、第4学年27項目程度、第5学年31項目程度、第6学年30項目程度。
- 中学校:第1学年65項目程度、第2学年66項目程度、第3学年32項目程度。
新聞記事の「コマ数」と、一次資料の「学習活動の項目数」は同じ数値ではありません。標準授業時数は、教育課程全体の中で今後決定されます。
詳しく読む学習内容、情報活用能力、条件整備+
詳しい解説
小学校「情報の領域」
「情報の領域」は、情報技術の活用を探究的な学びの基盤として育成するため、総合的な学習の時間に設ける案です。情報機器の基本操作、情報の収集・整理・分析・表現、情報モラル、セキュリティ、メディアリテラシー、AI、プログラミング、データなどを発達段階に応じて扱います。
中学校「情報・技術科」
情報技術だけを独立して扱う教科ではなく、材料加工、生物育成、エネルギー変換などの生産技術も含めて扱う案です。情報技術と生産技術を組み合わせ、実生活・実社会の課題を解決する「技術の統合」が新しい内容項目として示されています。
高等学校「情報科」
情報Ⅰ・情報Ⅱの科目構成を維持しつつ、中学校から移行できる内容を整理し、AI、データサイエンス、情報デザイン、システム開発、課題解決・価値創造の実践を充実する案です。情報Ⅱは、学校の実情に応じて単位数を柔軟に配当できる方向が示されています。
情報活用能力の3要素
- 活用:情報を収集・整理・分析し、表現・議論しながら課題を解決する。
- 適切な取扱い:情報の信頼性、リスク、他者への影響、社会的責任を踏まえて扱う。
- 特性の理解:情報技術の仕組み、原理、社会との関係や影響を理解する。
重点的に扱う内容
- メディアリテラシー:情報の真偽や偏り、メディアの特性を検討し、判断や対話に生かす。
- AI:利用方法だけでなく、仕組み、特性、リスク、生成物の評価を扱う。
- プログラミング的思考:AIへの指示やプログラミングで解決策を実現し、生成物を論理的・批判的に評価・改善する。
条件整備
先行実施は、教材・授業動画の開発、教員研修、免許状所有状況の改善、外部人材、複数校指導・遠隔授業、PC教室や3Dプリンターなどの環境整備を進めることが前提です。これらの工程は、同日に示された指導体制改善プランの解説で対象別に整理しています。
一次資料と報道
- 文部科学省「情報・技術WG取りまとめ(案)について」PDF
- 情報・技術ワーキンググループ(第12回)配付資料
- 朝日新聞「情報の新教科など、小学校28年度、中学29年度から 新指導要領」(元記事)
- 同記事のYahoo!ニュース掲載ページ
資料公表:2026年7月30日/最終確認:2026年7月31日
